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December 2006

雪景色の露天風呂 水上温泉郷谷川温泉



2006年最後の旅は、じっくりと温泉を楽しむ旅となった。今回訪れた谷川温泉は群馬県北部の水上温泉郷の中にある。

東京駅から上越新幹線の上毛高原(じょうもうこうげん)駅をめざす。ここまで約1時間20分。さらにバスで25分かけて水上温泉郷。そこから車で10分程度のところに、水上温泉郷谷川温泉がある。

ひさしぶりに乗る新幹線Max。あの『かものはし』のくちばしのような長い流線形のフォルムをもつ、愛嬌のある車体だ。ダウンジャケットをぬいで、リクライニングを少しだけ傾けシートに身体をあずける。車窓の風景は滑るように僕の視界をつぎつぎに通りすぎていった。今年一年の旅の思い出や来年のことをあれこれ考えていると、あっという間に上毛高原駅到着のアナウンスが。愛嬌のあるかものはしを見送り、改札を抜けて駅の外へ足を踏み出すと、冬晴れの青空が僕を迎えてくれた。

JR水上駅行きのバスに乗り込むと、客は僕の他には三組だけ。二人組みの女性は『月夜野焼陶芸体験』のために途中で降りていった。残る年輩の女性二人のうち、一人は地元の人らしく、もう一人は観光客。どちらも途中で下車。運転手さんが言うには、今年は暖かいらしい。例年ならこの辺りは、一面雪景色ということだった。今シーズンはすでに二回、雪が降ったが、解けてしまって雪の姿は見当たらない、そんなことを言っていた。

JR水上駅前には温泉地らしい商店街がならび、みやげ屋さん・飲食店・饅頭屋さんと、温泉街にあるものは一通り軒を連ねていた。さあ、これからどうしようか。天気がいいので、ガイドマップにあった谷川岳ロープウェイへと向かう。乗り込んだバスは山間のくねった坂道をどんどん登って、谷川岳ロープウェイ乗り場へ。標高が高いためだろうか、途中少しずつ雲が厚くなり、あやしい雰囲気に。ロープウェイに乗って山頂へ着くとそこは白銀のゲレンデ、天神平スキー場。以前、スノーボートをしに何度か来たことがある場所だ。すっかり曇っていて、風も強く、雪も吹きつけてくるので早々にロープウェイで下山。案の定、麓は冷たい雨が路面を濡らしていた。そこからバスで水上温泉へ戻り、そして宿へ向かう。幸い、雨もあがって、雲の谷間からは赤い夕焼け空が顔をのぞかせていた。この谷川温泉は水上温泉郷の一角に位置し、中心地から車で15分程度のところにある。観光ガイドマップを見ると、周辺には清流とそれに沿って遊歩道が整備されているようだ。明日が楽しみ。


▲宿泊先は水上山荘。和風の情緒たっぷりの部屋『白樺』

客室20あまりのこじんまりとした『水上山荘』が今夜の宿。広めの部屋の大きな窓からは、天気がよければ、谷川岳が望めるそうだ。窓辺の部屋には大きな横に広い掘りごたつがある。さっそく、ギターを抱えて掘りごたつへすっぽり入り、軽くメロディを奏でてみる。温かいお茶と掘りごたつは冷えた身体を内外両側からほくほくにしてくれる。窓辺には刻々と表情を変えてゆく夕暮れの山の景色が広がり、眼下には清流のせせらぎが。ゆったりとした時の流れをのなかで、いつもよりスローなギターの音色がいっそう心をほぐしてくれた。


▲山海の美味を楽しむ御善。炊きたての釜飯は香ばしいおこげ付き


▲部屋からの景色は一晩で一変、美しい雪景色に。ラウンジの大きな窓からも白銀の世界が

翌朝、窓を開けると、景色が一変していた。一面の雪景色。昨日、窓の外から見た山の木々の緑も、かすかに残っていた紅葉のなごりも、全て白い世界の中に消えてしまっていた。清流の流れだけが静かに、透明感と冷たさを増しているようだった。


▲源泉掛け流し温泉の檜風呂と雪見露天風呂

さて、旅の贅沢、朝風呂へ出発。源泉掛け流しの檜風呂に浸かって十分に身体を温めたら、外の露天風呂へと足を向ける。昨晩、空を見上げ、静かに雲の隙間に輝く星を数え、せせらぎに耳をすませたこの露天風呂は、今朝は雪景色のパノラマに浮かんでいるようだ。湯舟の縁の、丸い石に頭をのせて、湯舟に全身を投げ出し空を仰げば、ちらつく雪が顔にひんやりと冷たくて気持ちがいい。空の色も真っ白だ。今年最後の旅は、雪見露天風呂となったわけだ。

さあ、ここからが問題だ。予定していた遊歩道散策はさすがに無理だ。雪がすっぽりと覆い隠してしまっている。宿の送迎バスで水上温泉郷の中心まで送ってもらい、右手にギター、左手には傘を差してぶらぶらと歩いてみる。平日のためか、観光客の姿は見当たらない。そんな中で面白いお店を見つけた。店先には実物大の牛のマネキンが置いてあり、その牛にはリリー・フランキーの『おでんくん』が描かれている。もちろん、『顔グロたまごちゃん』や『大根せんせい』といった他のキャラクターもいっしょだ。この『桑屋』というみやげ屋さんは店内の雰囲気や置いてあるものがちょっとオシャレ。店では店員さんがサービスのソバ茶をふるまってくれた。身体がぐっと、あたたまる。さらに『桑屋特製 壺入りプリン』。さっそく注文。文字どうり壺に入っていて色は白く、ちょっともちっとした食感のプリンだ。甘さ控えめでなかなかである。店内には初めてみる『こどもびーる』の可愛いポスターが。どんな味なのだろうか。

店を出てさらに気ままに歩をすすめるが、野外での観光は寒くて無理だな、と思っているといいものを見つけた。それが、『陶芸体験 あしび窯』である。昨日、バスで一緒だった人たちも別の陶芸体験教室に行っていた。この辺りは、良い土がとれるのだろう。


▲陶芸体験をしたあしび窯。コーヒーカップ創りにトライ

陶芸教室は小さなところで、アトリエの棚には素敵な作品がならんでいた。ここのオーナーの作品なのだろう。今まで、陶芸に興味を持ったことはなかったのだが、ろくろを回し、土の塊から器を創る行為には興味がわく。実際にやってみると、子供のころの粘土遊びのようだ。ここで陶芸の修行をしているという、若い女性に手ほどきをしてもらい、丸い土をろくろにのせてコロコロと回す。とても面白くて、そして難しい。時折、世間話をしては、顔をほころばせながらのあっという間の二時間。『ギターを持って旅行にきたんですか? 後でギターを弾いて聴かせてください(^^)』『もちろん、いいですよ(^^)』そんな会話をしていたのだが、気がつけば、帰りのバスの時間が迫っている。最後に炒れたての熱いブラックコーヒーをいただき、一気に飲んで、さらにいただいたチョコレートをガツガツと頬ばる。これがまた、うまい!夢中になりすぎて昼御飯も食べていなかったのだ。

『あしび窯』を後にして走って水上駅へ。どうやらバスに間に合い、そして、新幹線で帰路に着いた。
今回の旅で雪は『恵みの雪』だったようだ。おかげで二種類の水上の景観に出会えた。朝起きて、景色が一変していたあの驚き。そして普段なら素通りしてしまう、陶芸教室。うーん、なかなか中身の濃い一泊二日だった。ちなみに、陶芸教室で創ったのはコーヒーカップ。乾燥させて、上薬を塗り、窯で焼いた完成品が二カ月程度で送られてくるという。出来栄えが楽しみだ。旅の思い出のたっぷりつまったカップが届いたら、大好きな熱いブラックコーヒーじっくりと味わいたい。


水上観光協会公式ウェブサイト
http://www.minakami-onsen.com/

月夜野焼WEB
http://www.tsukiyono-yaki.jp/



今回の旅のお伴はこのミニギター
タコマのパブーズ


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