もうすぐクリスマスというこの時期、冬の北海道へ二泊三日の短い旅行に出かけた。旅の目的は温泉、そして今年、世界自然遺産に登録されたばかりの知床を観に行くことの2つだ。



初日は羽田を1時過ぎに発ち女満別空港へ。3時過ぎに空港へ着き外へ出ると辺り一面、真っ白な雪景色である。早速、空港からバスを乗り継いで、網走市内にある博物館『網走監獄』へ。ここは網走刑務所の明治も姿を移築、復元によって再現したミュージアムだ。広い敷地の中に幾つかのミュージアムが点在していてそれを歩いてまわるというものだ。パンフレットには新緑に包まれたミュージアムが写っているのだが、僕の目の前にあるのは夕暮れの雪景色のなかにある白い建物たちだ。4時前に到着したのだが、冬の夕暮れは早く、すぐに辺りは暗くなってしまった。5時の閉館まで敷地内を観て歩いたが、外は氷点下10度の身を切るような寒さで、この地の厳しい環境を体験することができた。

予約しておいたホテルへ電話をして車で博物館『網走監獄』まで迎えに来てもらいホテルへと向かう。すっかり冷えきった身体を熱い温泉で温めて、すぐに食事をとり、さらにまた温泉に浸かって早めの就寝。今年の東京は寒いが北海道の寒さは別次元のものだということを実感させられた。



さて、二日目、今日は知床をめざす。ホテルの部屋は最上階の9階で窓の外には一面の雪景色と網走湖が広がっていた。日本列島は大寒波の影響と大荒れの天気といっていたので、空模様が心配だったが雪は降っていないようだ。網走湖には雪が積もっていて、湖畔を囲むように植えられた樹木がなければ大地との区別がつかない。一月になると湖には氷りが張ってワカサギ釣りを楽しむことができるそうだ。



網走から目指す知床斜里町ウトロまでは列車、バスを乗り継いで約2時間。天気も心配なので、朝食もそこそこに出発。ホテルから網走駅まで送ってもらい、いよいよ今回の旅のメインのはじまり。10時過ぎのJR知床斜里町駅行きの列車までは少し時間があったので、網走駅周辺を散策してみようと思い駅舎の外へ出たのだが、雪が歩道まで積もっていてまともに歩く事ができない。これはおとなしく列車を待っていたほうが良さそうだ。一両編成の短い列車は乗客もまばらでオホーツクの海沿いをどこまでも進んで行く。列車の中はかなり暖かい。あまりの暖かさでちょっと気持ち悪くなってしまった。宿泊したホテルもそうだったが外は寒いが中は暖かいのが北海道スタイルらしい。知床斜里町駅までは45分くらい。そこからウトロ行きのバスに乗り換えてさらに1時間。お昼すぎにやっと、めざす知床自然センターに到着だ。



ここは知床国立公園内にある施設で、各種観光案内を行っているところだ。ここから往復40分のハイキングコースでフレペの滝(別名、乙女の涙)を観にいこうとおもっていたのだが、ハイキングどころではなかった。辺りはすっぽりと雪に覆われていて、ハイキングコース入り口にあるレストランも雪の中に沈んでいた。この季節はレストランもおみやげ屋さんも閉店しているらしい。知床自然センターの人にハイキングに来た事を告げると、無理ですよ、とあきれられてしまった。確かにこの雪ではハイキングどころではない。知床自然センター内には観光客はほかにだれもなく、季節はずれの珍客といった感じだった。



それならと、タクシーを呼んで、ウトロ観光へと向かう。バスで終点のここ、知床自然センターへ来る途中の一つ前の停留所が『ウトロ温泉バスセンター』であり、この周辺におみやげ屋さん、飲食店、観光スポットが集中している、という情報を観光案内で得ていたのだ。市街地へ向かう途中で野生の鹿が現れた。タクシーの運転手さんによると、このあたりではめずらしいことではないらしい。ついでに冬のオホーツク海を写真に納めてみた。冷たく強い風と舞う雪、モノクロームの世界。ここで生活するのは大変そうだ。



さて、中心部はというとお店というお店は全て閉まっている。歩いている人すら見かけない。それでも運転手さんが森繁久弥作詞作曲の『知床旅情』の記念碑が建つ三角岩、そのとなりに建つオロンコ岩、市街から5キロほど離れたオシンコシンの滝などへと連れていってくれた。このあたりは、世界自然遺産に登録された今年の7月から秋にかけて、かなりの観光客が訪れたという。シーズンオフの今は、道路工事などが行われており、観光客対策として道を広くしているのだそうだ。たしかに小さな町なので、大勢の観光バスが一度に押し寄せたら、道路、レストラン、宿泊施設など追いつかないのかもしれない。

シーズンオフに訪れた僕はといえば、観光は楽しいのだが吹雪いてきてそれどころではなくなってきた。帰りが心配なこともあり、早々に観光を終了し3時過ぎには帰りのバスに乗り込む。来たときと同様に知床斜里町駅へと向かい、さらに列車で網走へ。網走駅には昨日のホテルに送迎を頼んでおいたので、まっすぐにホテルへ。そして、温泉、食事(カニづくし)、温泉、就寝。冬の知床 斜里町ウトロは観光客はほとんどなく、人陰もない、といった感じだったが、それなりに楽しむことができた。そしてシーズン中にまた訪れたいという思いがいっそう強くなった。



三日目、いよいよ最終日。天気は大荒れである。帰りの飛行機が心配だが、こればっかりはどうにもならない。ホテルの近くのオホーツク流氷館へ。天都山にあるこのアミューズメントは本物の流氷が展示されていてマイナス20度の世界を体験できる展示施設もある。濡れたタオルを持って入り、グルグルと宙を回すとタオルがあっという間に氷ってしまうのだ。それともう一つ、クリオネを見る事ができる。実物を見たのは初めてだったのでちょっと感動した。

荒れる空模様を気にしつつ、ここからバスで網走の中心にあるバスターミナルへ行き、乗り換えて女満別空港へと向かった。昼に到着すると、予約していた3時過ぎのJALの便は早々に欠航となってた。次は夜8時の便で、それもどうなるか解らないとのこと。困っているとANAで札幌の新千歳空港へ向かいそこからJALで羽田へ向かう便があると教えてくれた。この日、札幌の空は良好だったそうだ。飛行機代はかさむが、帰れないよりはいいだろうということで新千歳空港へ。



結果的には新千歳空港経由にしてよかった。女満別、網走、知床と白とグレーの世界の中で過ごしたあとの新千歳空港の鮮やかなディスプレイは新鮮だった。軽く腹ごしらえをしたあとは広いショッピングエリアでおみやげを物色したりしながら小一時間を過ごし、無事、羽田へ帰って来た。

ちなみに冬の網走を訪れるなら1月以降が良い、とのことだ。流氷がやってくるとイベントなどが行われ町は活気づく。さらに網走湖のワカサギ釣りも楽しむことができる。一番賑わうシーズンは2月だといっていたので、寒さに強い人は訪れてみてはどうだろうか。


今回の旅のお伴はこのギター

☆関連記事を読んでみよう!
旅と散歩のフォトエッセイのトップページへ
『トラベルギターワールド』のトップページへ

☆掲示板に感想を書き込んでみよう!
トラベルギターワールドBBS

☆旅のプランを探してみよう!
大人気!露天風呂付き客室の宿を予約【ぐるなびトラベル】

☆旅のアイテムあれこれを探してみよう!
日本最大級ショッピングサイト!お買い物なら楽天市場




真冬の網走・世界自然遺産 知床の旅
December 2005
| TOPページ |
トップフォトエッセイ>網走・知床
旅とメロディ