ヴェネチア
この街を美しさをどう表現すればいいだろうか?サンタ・ルチア駅をおりて目の前の橋をわたる。するともう別世界が広がっていた。細い路地にある床屋さんが妙に新鮮だったことを覚えている。

細い小道が迷路のように入りくんでいて楽しい反面、ちょっと不安になる。目指すはサン・マルコ広場。地図を見るとまずリアルト橋までいければなんとかなるはずだ。しかしこれが難しい。全然思いどおりに進まない。普段生活していると、道路の向こう側に行くには道路を渡ればいい、とそれだけなのだがヴェネチアの場合はそうはいかない。目の前は運河だから横断することができない。運河沿いに歩道があればいいのだがそうとはかぎらないので、渡れる橋を探してまた迷路に逆戻り、という繰り返しだった。狭い道は二人の人間がすれ違うぐらいの幅しかなく迷路に一人ぼっちになるといっそう心細くなる。そしてわくわくする。

ブッキングしたホテルがサン・マルコ広場近くだったのでがんばって歩いたが、そうでなければサン・マルコ広場へ行くのを諦めていたかもしれない。僕はそれくらいこの迷路に迷い込んでしまったのだ。自分の目指していた方向とはまるで違う方角に人の流れを見つけて近づいてみるとそれが目指していたリアルト橋だった。この辺りからサン・マルコ広場までは様々な店が立ち並ぶ。それは観光客相手の店だけではなく、生活雑貨屋さんなどいろいろだ。そう、ここでは多くの人が日々の暮らしをしているのだ。ここに住む子供は学校へ行ったらちゃんと家に帰ってこれるのだろうか?そんなことを考えた。

サン・マルコ広場は観光客で溢れていたが『ため息の橋』を左手に見ながら歩いて5分くらいのところにあるホテルはとても静かだった。車が走っていないヴェネチアはちょっと裏通りに入るととたんに静かになる。それは新鮮な驚きだった。

ここは街自体が大きなアトラクションなのかもしれない。そこには機械仕掛けのメリーゴーランドや派手な効果音はないが、訪れる者に神秘的な非日常を味あわせてくれる。

今回ゴンドラには乗らなかったが再び訪れたらぜひ、水上から望むヴェネチアを楽しみたい。


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Summer 2004
旅とメロディ